ブリジットの小屋があるエスティレカの森を出てから三日。

険しい山道を登った所に、その館はあった。

うっそうと生い茂る木々のせいで、辺りは昼だというのに、少し薄暗い。

そのせいもあって、レンガ造りの館は不気味なたたずまいを見せていた。

古びたような外観で、壁には蔦が這っていたが、見る者が見れば、

わざと古く見えるように建てられた、新しい建物だと分かるだろう。

大きさはやや小さめ。

ただし、王侯貴族の感覚で言うと、という但し書きがつく。

二階建てだが面積が広く、部屋数はゆうに四十を超えるはずだ。

わざわざ館ひとつ作るのかと、ブリジットはあきれたように笑った。

(金がある所には、はいて捨てるほどあるものよね)

同じように館を見上げているパーシヴァルなど、ぽかんと口を開けている。

「ここがお前たちの仕事場だ」

そう言ったのは、老宰相の護衛を務めていた男だった。

ランドルフ=チャーゼルと名乗った男は、厳しい顔つきのまま、館を示した。

二人の正式な雇用主である老宰相は、ここにはいない。

宰相が長期間城を空けておくわけにもいかず、時折は様子見に来るが、

現場の責任者はランドルフということになるらしい。

役職は分からないが、おそらく軍人だろう。

硬い頭ときびきびした動作などから、ブリジットはそう睨んでいる。

(たぶん、そんなに低い位じゃないでしょうに、お気の毒なこと)

まさか見下している魔女に同情されているとはこれっぽっちも思っていないランドルフは、

自分の後を遅れずについてくるように言い、すたすたと行ってしまった。

その後をのんびりついて行きながら、パーシヴァルは首をひねった。

「あのおっちゃん、俺らのこと嫌ってねぇ?」

「もちろんお嫌いでしょうとも。今の世の中じゃ、魔術師はうさんくさい職業と言われてるし、

人狼族だってあんまり評判よくないんだもの。それが両方来ては、ね。

上の命令じゃなきゃ、話すどころか、顔も見たくないんじゃない?」

ブリジットが薄笑いを浮かべて言うと、パーシヴァルは驚いたように叫んだ。

「なっ、ブリジットみたいな魔術師はともかく、なんで人狼族まで評判悪ぃんだよ!」

それと同時に、パーシヴァルの後頭部に痛みが走った。

ブリジットが手に持ったカバンを、思いっきりぶつけたからである。

「私みたいなとは何よ。私みたいなとは。アンタは本当に一言多いわね」

「ぼ、暴力反対! で、何で?」

「見た目」

ブリジットはズバリと言い切った。

「見た目ぇ?」

パーシヴァルは素っ頓狂な声を上げて、思わず足を止めた。

ブリジットはそれに構わず歩き続けながら頷いた。

「そ、だって毛むくじゃらじゃない。本能的に怖いんでしょうね。

犬歯発達してるし、爪だって丈夫で鋭いし、それにあまり切らないでしょ。

あとは生肉食べるの、信じらんないとかね。

まぁ、他にもいろいろあるけど、基本は自分たちと“違う”からよ」

人って排他的な生き物なのよねー、とブリジットは他人事のように言った。

置いていかれそうになったことに気付き、小走りでブリジットに近寄りながら、

パーシヴァルは幼い子どものように口を尖らせる。

「それはしょーがねーじゃん。だって違うんだからさぁ」

「そ、しょーがないの。あの人も頭が金剛石よりも硬くて、古臭い考え方しか出来ない、

しかも、こんな変な仕事に回されてしまった可哀相な人なんだから、せいぜい哀れんでやりなさい」

ふふんと笑うブリジット。

それを見て、パーシヴァルがこっそり呟く。

「ブリジットが言うと、馬鹿にしてやれって聞こえるんだけど……」

「何か言った?」

「いんや、何にも」

ブリジットにじろりと睨まれたパーシヴァルは、懸命にも首を横に振ったのだった。

 

 

ランドルフに案内された館の中は、まさしく魔女の館、という雰囲気をかもし出していた。

ひび割れた姿見が掛かった壁に、わざと放ったという蜘蛛が作った巣があちこちにある天井。

床に敷いてある絨毯も、もとは赤だっただろうに、すっかり色あせている。

ブリジットたちは、これらをどこから調達してきたのだろうと考えながら、ランドルフの説明を聞く。

「我々が寝起きする一角だけは、掃除が行き届いているが、

広間側のこちらは、掃除をしないように指示されている」

「“私”はそんなに掃除嫌いな設定なんですか? これでも綺麗好きな方なんですけど」

ブリジットが不満気に言った。

そもそも魔術師は神経質な者の方が多いのである。

厄介な薬品や薬草なども多く取り扱う為、掃除は欠かせない。

ブリジットもその例に漏れず、これでなかなか綺麗好きだった。

今だって、ほこりのせいで鼻水が出そうなくらいだ。

無性にイライラしたので、とりあえず前を歩いているパーシヴァルの踵をわざと踏みつけた。

そのせいで転びかけたパーシヴァルには、口先だけで謝っておく。

そんなやりとりを無視して、ランドルフは続けた。

「絵本に出てくるような、典型的な魔女くらいで丁度いいのだ。

王太子殿下は真っ直ぐなご気性の方だからな。宰相閣下が仰るには、雰囲気作りが大事だと」

「ふぅん、そうですか」

(真っ直ぐなご気性、ね。ものは言い様よね。つまりは馬鹿ってことじゃない?)

根性が螺旋を描くくらい捻じ曲がっているブリジットは、

腹の中でたいへん失礼なことを考えつつも、表面上は素直に頷いた。

パーシヴァルはそんなブリジットを奇妙な物を見る目でちらりと見て、

慌てて目をそらした。

彼にも多少の学習能力はあるようだ。

ほこりっぽい回廊を抜けて、綺麗に清掃された板張りの廊下に出た時、

ブリジットは思わず、大きく息を吸った。

どうやら、無意識のうちに息を止めていたようだ。

その廊下の左右にはいくつも扉が並んでいた。

とは言っても、その間隔からするに、部屋の広さはそれなりにあるようだ。

ランドルフは奥から四番目の扉の前で立ち止まった。

「ここが魔術師殿の部屋、右隣がそっちの男の部屋だ。そして、これが鍵だ。

浴室と厠(かわや)は部屋にはない。このまま真っ直ぐ行くと共用の厠が、

更にその角を曲がった突き当たりに、大浴場があるので、そちらを利用するように。

あと食事は先ほどの分かれ道の先にある食堂でとれ。

今日はもう自由にしていい。ただし、二階には勝手に上がるな。いいな?」

と、ランドルフは言いたいことだけを言い切ると、さっさと行ってしまった。

そのあからさまな態度に、ブリジットはくすりと笑った。

「やっぱり、私たちのことがお嫌いのようね」

「俺は嫌われてんのに笑ってられるブリジットの気がしれねぇよ」

パーシヴァルが「どうゆう神経してんだよ」と、いつでも逃げられるように身構えながら言う。

ブリジットは肩をすくめて、その問いに答えた。

「別に私はあの人に嫌われたって、痛くもかゆくもないんだもの。

たったあれっぽっちで駄目になるような神経じゃ、今のご時世、魔術師なんてやってらんないわよ」

ご職業は? と訊かれて、魔術師です、と答えたら、

今まで親しげに話してくれていた人の態度が、急によそよそしくなるなど、よくあることだ。

それほど、今の世の中で魔術師という職業は理解されていない。

魔術師=詐欺師、と思っている人もいるくらいだ。

それにも、魔術師を語って詐欺を働くような輩が多い、という理由があるのだが、

正真正銘の魔術師にしても、変わり者が多く、社交的か社交的でないかといえば、

どちらかというと社交的でない人種が多いという事実も否めない。

つまり、誤解されやすい職業だということだ。

ブリジットは物心つくかつかないかの頃から師の元で育ったので、

それが今の普通であることを肌で知っている。

しかし、十四まで人狼族の群れで暮らしていたパーシヴァルには、

理解しがたいことだった。

基本的に、パーシヴァルは世間と少しズレているので、

きっと、これからも理解出来ないことだろう。

(理解出来ない方が幸せでもあるでしょうよ)

ほんの少しだけパーシヴァルを羨ましく思い、ブリジットは微かに苦笑した。

 

 

荷物を部屋に置いた後、ブリジットとパーシヴァルは連れ立って、

ほこりまみれの広間に来ていた。

自由にして良いと言われたので、散歩がてらの現場確認だ。

ブリジットとしては連れ立ってくるつもりはなかったのだが、

ちょうど同時に部屋から出てきたので、なりゆきでそうなってしまったのである。

“表舞台”と呼ばれている側は、小奇麗ではあるがどこか質素な“舞台裏”とは違い、

古びてはいても、重厚な雰囲気があった。

「趣味は悪くないのよね」

と、ブリジットが眉間にシワを寄せながら呟く。

口元には手巾(ハンカチ)を当てている。

余程、ほこりが嫌いなようだ。

しかし、パーシヴァルはもっと酷かった。

鼻が常人よりも利くせいで、先程からくしゃみばかりを繰り返している。

先程は息を止めていたらしいが、ぐるぐると見回っている今は息が続かない。

パーシヴァルは手巾を持っていなかったので、モロにくらってしまったのだ。

ブリジットはそんなパーシヴァルは放っておいて、高そうな壷が置かれているのをしげしげと見ている。

その時、突然、鈴を鳴らしたような声が聞こえた。

間違ってもパーシヴァルやランドルフのものではない。

「まぁ、そちらの方が悪役を務めて下さる魔術師さん?」

ブリジットが振り返ると、そこに立っていたのは、

こんな陰鬱でほこりっぽい館には似つかわしくない、美しい少女だった。

上等な服を着て、綺麗に結い上げられた漆黒の髪には、瞳の色と同じ青の飾りをつけている。

もし、この少女が城の庭にいても、誰もおかしいとは思わないだろう。

だが、実際に少女がいるのは、片田舎の山の中にある古めかしい館だ。

はっきり言って、場違いである。

「そうですが、貴女は?」

何故こんな所に、明らかに身分の高い少女がいるのだろうと、

ブリジットは訝しげな顔をして問いかけた。

すると少女はにっこりと笑いながら、裾をつまんで優雅に一礼した。

「申し遅れました。わたくしは、ドゥエイン王太子殿下の婚約者で、

<帝国>の第三皇女、リディア=ミルロです。

今回は囚われの姫役を務めさせて頂きますので、よろしくお願い致しますね」

「あ、囚われ……、いえ、私はブリジット=アーロンと申します。

こちらこそ、よろしくお願いします」

囚われの姫役、という所にひっかかったものの、ブリジットは無難に挨拶を返した。

そして、お前も挨拶せんかい、という目で隣を見ると、

パーシヴァルは顔を真っ赤にしながら口を開いた。

が、

「パパパッパッパッシバババ」

と、まったく名乗れていないので、ブリジットはこっそりパーシヴァルの尻をつねりながら、

困ったような笑みを浮かべて代わりに答えた。

「申し訳ございません、皇女殿下。これは、パーシヴァルと言います。

見ての通り、少々おつむの足りない者ですが、これのことはあまりお気になさいませんよう」

「ひでぇっ、そんな言い方ないだろ!」

「うるさい。壊れた蓄音機みたいな声しか上げられない馬鹿には丁度いい紹介でしょ。

退毛剤には肌をつるつるにしても、脳味噌までつるつるにする効果はないはずなのにね」

「本気でひでぇ!」

嘲るように言うブリジットに、パーシヴァルは涙目になった。

その様子を見て、リディアはころころと笑う。

「仲がよろしいのですね」

「まさか」

「どこが!?」

リディアの言葉に、ブリジットは隙のない笑顔を浮かべ、パーシヴァルは悲痛な叫び声を上げた。

その反応を見て、リディアは更に笑みを深くする。

「息までぴったりですね。お二人とも、わたくしのことはリディアと呼んで下さいね。

何しろ、約二ヶ月の間、一緒に過ごすのですもの。仲良く致しましょうね」

「皇女殿下……リディア様もこちらにお泊りになってるんですか?」

ブリジットは至極丁寧な言葉遣いを止め、普通に話しかけた。

タメ口をきいたことがバレると、ランドルフ辺りがうるさそうなので、

一応ですます口調ではあったが、一国の姫君に対しての口調として、

くだけ過ぎていることは、間違いない。

それはリディアがそう望んでいるだろうと考えたことよりも、

まどろっこしい言い方が面倒になったという方が本音だ。

案の定、リディアは気にした様子もなく、「えぇ」と頷いた。

「わたくしの部屋は、二階の突き当たりです。よろしかったら、今からいらっしゃいませんか?

ちょうどお茶の時間ですもの。どうかしら?

わたくし、ブリジットさんやパーシヴァルさんと、ゆっくりお話ししたいの」

ご都合がよろしければですが、と小首をかしげるリディア。

その様子さえ、可憐だった。

うっかりそれを直視してしまったパーシヴァルの顔が、また茹で上がった。

それに冷たい視線を浴びせかけてから、ブリジットはあっさりと承諾の意を告げた。

その心の内は、久しぶりにまともな茶が飲める、というものだったことは、

本人しか知らなくて良いことである。

 

 

(ふん、随分と待遇が違うじゃないの。相手は姫さんだから、当然といえば当然だけど)

それが二階の突き当たりにある部屋に入っての、ブリジットの感想だった。

単純に二階の奥の部屋、と言っても、居間と寝室の二間らしく、

ブリジットたちが通されたのも、居間の方だった。

この居間だけで、ブリジットたちの部屋の三倍は広い。

古びた感じのする外観とは違う、立派な部屋だ。

ここならばリディアの格好も違和感がない。

むしろ、ブリジットとパーシヴァルの方が浮いている。

なにせ、二人ともバリバリの庶民。

しかも、貧乏な部類だ。

そういえば、と自分たちの部屋への廊下が板張りだったことを思い出し、

一階の奥は使用人部屋だったか、と合点がいった。

別に貴賓室を用意してもらいたかったワケではないが、

なんとなく面白くないブリジットは、内心でランドルフを罵った。

「では、ブリジットさんとパーシヴァルさんは同い年なのですね」

侍女が淹れたお茶を優雅に飲み、リディアが確認するように言う。

「おぉ。リディアさまは?」

パーシヴァルが焼き菓子を頬張りながら聞き返した。

ぼろぼろ落ちるカスにブリジットは思いっきり眉をひそめたが、

リディアは笑顔を崩さずに答えた。

「十六になりました。ドゥエイン殿下は三つお年が上になります」

「ふぅん。王子さまは、じゃあ十九か。俺らより二つ上だ」

ずずずと音を立てて紅茶をすすったパーシヴァルに我慢出来ず、

ブリジットは向こう脛を蹴り飛ばした。

しかも、思いっきり。

「ぎゃあっ」

脛を抱えて悶絶しているパーシヴァルに、ブリジットは一言冷たく言い放つ。

「下品」

「ブリジットさんは、パーシヴァルさんのお母様みたいですね」

リディアがくすくすと笑う。

パーシヴァルは慌ててそれに反論した。

「なっ、リディアさま! コイツが母親なんてとんでもねぇよ!

こんなのが母親だったら、俺、絶対にヤだし! 最悪っつーか、人生最初っからどん底だろ!」

「なんですって?」

ブリジットは絶対零度の笑みを浮かべながら、パーシヴァルのもう片方の脛を蹴り飛ばした。

「がっ」

パーシヴァルが再び悶絶した。

小刻みに肩が震えている。

それを無視して、ブリジットはリディアに問いかけた。

「それにしても、まさかここまで大掛かりなものだとは、思いもよりませんでしたよ。

特にリディア様まで一枚噛んでいるとは、驚きです。

よく<エリーシャ>の国王陛下も、<帝国>の皇帝陛下もお許しになりましたね」

「そうですね。ドゥエイン殿下はさっぱりとしたご気性の方で、細かいことはあまり気にされない方で、

ドゥエイン殿下のお父上でいらっしゃる国王陛下も、おっとりとした方です。

<エリーシャ王国>の君主は、代々そういう方が多いのだと聞きます。

その代わり、王太后が政治のお手伝いをよくするそうですよ。

父上はいずれ嫁ぐのだから、お勉強になるでしょうと」

リディアはニコニコ笑いながら、さらりと言った。

それは事の重大さを分かっていないのか、分かっていてあえてそう言ったのか、

おそらく後者だろうと、ブリジットは思った。

(隙がないわ。ただ育ちがよいだけ、ってわけじゃなさそうね)

「えーと、確か、リディア様のお祖母様の皇太后様は、<エリーシャ>のご出身でしたね」

生粋のお姫様だと思いながら、ブリジットは確かめるように言った。

「そうです」

「じゃあ、リディアさまと王子さまは…………はとこ?」

「そうなりますね」

「では、リディア様はこの“試練”をどう思われます?」

ブリジットは人の悪い笑みを浮かべながら、リディアの目を覗き込んだ。

動揺は目に表れるからだ。

リディアの青い瞳は、一瞬だけ見開かれたが、すぐに穏やかさを取り戻した。

「たいへん面白そうだと思います。

わたくしは<帝都>から出たことが、あまりありませんでしたから。

それに……」

と、一旦言葉を切ったリディアは、ふんわり笑いながら悪戯っぽく目を輝かせた。

「ドゥエイン殿下は素晴らしいお方ですが、もっと素晴らしくなって欲しいと思うのです。

その為に人肌脱ぐくらい、お安い御用というものなのですよ」

その言葉を聞いて、ブリジットは満面の笑みを浮かべた。

彼女は基本的に頭の良い人間が好きだった。

駆け引きだの陰謀だのという言葉を聞くと、血がたぎるのである。

か弱い乙女よりも、か弱い乙女を装う強かな娘の方が好感を持てる。

今の一言で、リディアがブリジットの好きな部類の人間だと悟った。

(ふぅん。やっぱりこの姫様は面白そうだわ)

今まであまりやる気のなかったブリジットだったが、リディアという人間には興味を持った。

紅茶も上等なものだったことだし、茶菓子も美味しかった。

茶葉を少し分けてもらえないだろうかと、貧乏くさいことを考えながら、

少しは積極的にやっても良いかも知れないと、ブリジットは思う。

「明日からの練習が楽しみですね」

無邪気そうに笑うリディアに、ブリジットは「そうですね」と不敵な笑みを返す。

 

 

そのやりとりを見て、二人とも笑っているはずなのに、どこか違うと感じ、

もしかしてリディアさまって……。

と疑問を抱き始めたパーシヴァル。

女は悪魔よりも数百倍は恐ろしいので、絶対に怒らせてはならない、

という曽祖父の有難い教えが彼の脳裏を過ぎった。

(俺、このお姫さまと結婚する王子さまに同情しちゃうな……)

ずばり怖いブリジットと、実は怖いのかも知れないリディア。

自分ならどちらがマシか、と考えた所で、どっちもどっちだと思い至ったパーシヴァルは、

まだ見ぬドゥエイン王太子に同情しながら、とりあえず茶菓子のお代わりを要求したのだった。




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