初め、世界には何もありませんでした。

そこに光の男神と闇の女神が現れました。二人は夫婦でした。

その二人の間に生まれた子たちが、星です。

星たちは長らく両親の元にいましたが、一部の星たちは宙にいるのに飽きて、

両親である男神と女神に願い出ました。

「私たちに安住の地をお与え下さい」

男神と女神はその願いを聞き届けました。

光の男神と闇の女神は協力し合って、息子と娘を産みました。

息子が大地。娘が海です。そして空を自らの住処としました。

星たちは喜び勇んで地上に降り立ちました。

 

光の男神は自分を補佐させるため、娘を生みました。

闇の女神も自分を補佐させるため、息子を生みました。

男神が生んだ娘が太陽、女神が生んだ息子が月です。

その後も光の男神と闇の女神は、地上に降りた星たちのために、

協力して多くの神々を地上に生み出しました。

その神々のおかげで、星たちの暮らしは豊かで平和なものでした。

 

けれど、その暮らしも長くは続きませんでした。

星たちは男神と女神の親心に増長し、際限なく要求を出してきたのです。

「もっと綺麗な服が欲しい。もっと美味しい物が食べたい。もっと楽な暮らしがしたい」

初めのうちは願いを叶えていた神々も、我慢の限界にきていました。

そして誰よりも嘆き悲しみ怒っていたのは、親である光の男神と闇の女神でした。

二人は互いに星たちが堕落したのは相手のせいだと言い争い、

しまいには、空を二分して住むようになりました。

これが昼と夜の始まりです。

そして男神と女神はそれぞれ、愚かな星たちに罰を与えることにしました。

光の男神は息子を生みました。闇の女神は娘を産みました。

男神が生んだ息子が運命、女神が生んだ娘が時です。

そして地上の神々に、恩恵と共に災いも与えるように命じました。

 

こうして、それまで年もとらず平和に暮らしていた星たちは、
災害に怯え、病を恐れ、運命に翻弄(ほんろう)されて、年をとり、
やがては死ぬ無力な人間となったのです。

 



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